田中山田の蹴球日記

RealMadrid and Football ver 3.0

日本対コスタリカ戦から見る酒井宏樹のドリブルとボールキープの仕方

オーストラリアの首都をシドニーだと思っていたり、町田を東京だと思っている人は結構多い。町田は東京だけど。例えば子供の頃、暑い夏の日に冷蔵庫に入っている黒い液体をコーラだと思って飲んだら「げっ、これ麺つゆかよ!?」みたいな体験をした事があるだろう。僕はない。例えば「ゴリラ」と聞けば、手で掴んだリンゴをすぐにアイアンクローでジュースにして飲んでしまう、そんな野蛮なイメージを人々は持っているだろう。でも、あいつ等は僕たちが思っている以上に器用なんだ。

軸足を使ってボールを運べ

中西哲生 : 長友は身体からボールが離れるドリブルをしていました。これは、彼が持っていた大きな課題でした。ボールを持って、蹴って、追いつくというドリブルをしてしまうと、ボールが自分の身体から離れてしまい、追いつくまで時間がかかります。(中略)いつも言っているのは、「最後の最後で判断を変えられるように、そのために身体からボールを離さないように」ということです。(中略)基本的には「ドリブルするほうの足でボールを蹴れば、ボールは身体から離れる」ということですね。右でドリブルして、ボールを蹴って進めば、身体から離れますよね。だから、ボールを持つときは、持っていない足を出して運ぶ必要があります。

 「軸足を使ってボールを運べ、身体から離すな」。中西哲生が語る長友佑都 | COACH UNITED(コーチ・ユナイテッド)

酒井宏樹のドリブル

以下の画像は、2014年6月3日に行われた日本対コスタリカ戦、その後半43分から始まった酒井宏樹のプレーである。

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写真の白丸、21番の選手が酒井宏樹。日本は画面の右に向かって攻めている。

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DFが接近してきた。酒井は軽く飛び、

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右に向かって、右足でボールを押し出した。この時、酒井は強くボールを押し出すのではなく、弱くボールを押し出した。

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酒井のドリブルに反応したDFは、抜かれまいと食らい付いて来た。

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酒井はボールを体と軸足=左足でプロテクトするように進む。

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軸足=左足を大きく踏み込む。

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ここで酒井は一旦静止して(ボールを股下の間に隠して)DFを引き付け、様子を見ている。

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酒井はDFが止まったのを確認した後、再び軽くボールを突き出した。

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DFが遅れて反応。

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右足ではボールに触れず。ここでもDFを引き付ける。

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DFが接近してきた。再び体と軸足=左足でボールをプロテクトするように進む。

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DFが食らい付いて来た。左足をステップ。

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しっかりとDFからボールをプロテクトしながら(軸足の裏側を通して)ターン。

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酒井はボールキープに成功した。

縦に大きくボールを蹴り出して、スピードで抜き去るだけがドリブルではない。この場面の酒井のように、軽くボールを押し出して、軸足でプロテクトしながらDFを引きずるようにして進み、DFの動きを確認しながら緩急を使ってドリブルを行う。基本的な事だが(だからこそ)非常に重要な技術だと言える。

すまんかった

ゴリ上手いやん。すまんかった。誤解してた。ガタイ良いし、顔付からも、もっと雑な選手だと思っていた。この場面は最後のターンの角度が少しキツ過ぎたのが惜しいけど、DFとしっかりと駆け引きが出来ている。上手い。

やだ、どうしよう。うっちー派だったけど、酒井の方が(顔的に)ベイルの親戚っぽいし、これは鞍替えすべきか!!

国王杯決勝から見るバルセロナ時代の終焉

第一章 レアルの守備 〜賢者は歴史に学ぶ〜

例えば数年前のCLの決勝戦。当時のバルセロナと対戦したユナイテッドの中盤4枚はワイドに広がってしまった。その為にユナイテッドは中盤に致命的な問題を抱えたままバルセロナと戦う事になり敗戦を喫した。それから数年後、今やどのチームもバルセロナと対戦する場合には中盤4枚が絞って中央のスペースを消す事となった。レアル、シティ、あるいはアトレティコ。例を挙げれば枚挙に暇がない。また以前のモウリーニョレアルを見れば、あるいは今年のCLでシティがバルセロナと戦った試合を見れば、中盤の枚数は4では足りない事が分かる。あと1枚が必要だ。この1を担当したのがシティではシルバであり、以前のレアルではエジルであり、この試合においてはベイルが担当した。

シティ対バルセロナ戦から見るバルサ対策の失敗とクラシコに向けて / 我々はレアル・マドリードだ!! | 明日は曇り | スポーツナビ+

レアルの守備

レアルの守備は442でセットする。中盤の4枚は中に絞ってスペースを埋める。前の二人はラインを保ちボール奪取後のカウンターに備える。しかし中盤がサイドに引き裂かれ場合は442の2の一人が(ベイルが)下がってスペースを埋める。また中央で枚数が足りない場合も1の選手が適時下がってスペースを埋める。

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前半9分。白のユニフォームがレアル。紫がバルサイニエスタがボールを持っていて、バルサが左に攻めている。レアルの中盤は右からディマリア、モドリッチアロンソ、そしてイスコ。この時、中央のメッシが浮いている。イニエスタからメッシにパスが出る。

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メッシがボールを持った。この時ベイルは下がってスペースを埋める。

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ベイルはラインを下げる。そして442の2の一枚は下がって4411の形になる。またこの時、中盤の四枚はしっかりと中に絞ってメッシのパスとドリブル突破を防ぐ。特にベイルはメッシがフラフラと下りてボールを受けに来た場合には必ず下がってパスコース、あるいはドリブルのコースを切る。

最早メッシのプレースタイルを知らない者はいない。またメッシに対する対処法も既に確立されている。

第二章 レアルマドリードの速攻 〜疾風怒濤〜

バルセロナは両SBを高い位置に上げてくる為に「2+1人」でカウンターを行えば最低でも数的同数、上手く行けば(バルセロナの帰陣が遅れれば)数的優位に立てる。よってレアルのカウンターはベンゼマとベイルの二人を起点に行う。

レアルが左サイドでボールを奪取すればイスコがベンゼマとベイルにボールを預け、その間に右サイドのディマリアが爆走して計三枚となる。

レアルが右サイドでボールを奪取すれば即座にディマリアがサイドに流れてボールを受けて前に運ぶ。その間に前線の二人が走る。そしてディマリアが二人にボールを届ける。

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前半の9分。左サイドでレアルがボールを奪取した。イスコがボールをキープして、ベイルかベンゼマにボールを入れる。その間にディマリアがサイドを駆け上がる。

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バルサの最終ラインの枚数は二枚となっている。

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完全にディマリアが抜け出している。

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前半の14分。レアルが右サイドでボールを奪取した。

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ディマリアが即座にサイドに開く。この時間を使ってベイルとベンゼマが前に走る。

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ベイルは完全にDFを振り切っている。バルサ最終ラインでは2対2の状況になっている。このようにバルサに対するカウンターは2+1で確実にチャンスを作れる。特にボールを奪取したサイドとは逆サイドのランニングは効果的だ。

第三章 レアルの遅攻とバルセロナの守備の問題 〜繰り返される歴史〜

レアルの遅攻での狙いは明確だ。なぜならバルセロナの守備には致命的な欠陥があるからだ。それは中盤と最終ラインの間のスペースが埋められないという事だ。そのスペースを埋めているブスケツを追い出せば、そこには広大なスペースが生まれる。よってレアルはそこを狙う。

サイドハーフのディマリアはワイドに張るのではなく、中に絞ってブスケツ周辺にポジションを取る。その後ディマリアにボールが入れば、モドリッチが上がってディマリアからの落としを受ける。この時ベンゼマは中央が空いていれば中でポストプレーを行う。もしディマリアへのパスコースがなければサイドに流れてディマリアへのパスコースを空けるようにランニングする。

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前半の6分。レアルが右に攻めている。ディマリアはワイドに張るのではなく中に絞ってブスケツ周辺でボールを受ける。右サイドにはベンゼマが流れる。カルバハルからモドリッチへとパスが出る。モドリッチはダイレクトでディマリアへとパスを出す。

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ディマリアがボールを持つ。ブスケツを引き出す。中央のバイタル周辺が空く。この時(ディマリアにボールが入った時)はモドリッチが前にランニングしてディマリアからのパスを受ける。この種のプレーは何度も行われていた。例えば、この直後の前半8分のプレーにおけるディマリアとモドリッチの二人の動きを見てみる。

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ディマリアはワイドに張るのではなく中に絞ってパスを受ける。目的はブスケツを引き出す事だ。

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ディマリアがボールを受けた。ブスケツが引き出されている。ここでモドリッチが上がってパスを受けようとする。中央にはスペースがある。この場面でディマリアはモドリッチへのパスをDFに引っ掛けてしまった。そしてボールはラインを割ってしまった。この直後ディマリアは、

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手を上げてモドリッチに対して謝っている。

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それに気付いたモドリッチも手を上げて「問題ない」と応えている。こういったプレーが約束事である事が分かる。

ブスケツを追い出せ

中盤の底からブスケツを追い出す事ができれば高確率でバルサの中盤と最終ラインの間には無人のスペースが生まれる。もしカバーが入ったとしても一度やり直しを行えば、バルサの守備には必ずカバーのミスが起きる。

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前半の18分。レアルが右に攻めている。サイドに流れたベンゼマからディマリアへとパスが出る。

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ディマリアがボールを受ける。そしてブスケツを引き出す。

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ここでモドリッチが上がってくる。中央でボールを受ける為だ。これは約束事だ。

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しかし、この時、中央にはシャビが絞っていた為にアロンソは「やり直せ」とディマリアに指示を出した。

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ディマリアからペペ、アロンソ、そしてラモスとボールが回る。この間にベンゼマが中央に戻る。

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ラモスからパスが出る。バルサの中央には誰も居ない。中央のアロンソはそれを確認している。

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ベンゼマにクサビが入る。バルサの中盤には誰も選手がいないので最終ラインからCBが出て行く。ポストプレーの上手いベンゼマにとっては全く楽すぎる状況だ。

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ベンゼママスチェラーノを引き出してからボールをベイルに落とす。この時、右CBのバルトラはマスチェが出て行ったので下がってスペースを埋めるしかない。もしここでベイルに強く当たりに行って裏を取られてしまったら致命的だからだ。その為、楽にボールを受けたベイルは前を向いてドリブルを開始した。

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前を向かれたベイルにゴール前まで簡単に侵入されてしまっている。メッシが置かれている状況とは全く異っている。

このようにバルセロナは何度も同じ形でレアルに崩されていた。また、こういったバルセロナの守備の問題は後半になっても変わる事はなかった。

四章 バルセロナの攻撃の問題 〜見えない壁〜

バルセロナの攻撃の特徴は素晴らしいポジションニングとスペースの使い方にある。しかし現在のマルティーノ政権下では、その素晴らしさは鳴りを潜めている。原因のひとつとして挙げられるのが左サイドと右サイドの分断である。この試合の前半は特にそれが顕著であった。

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例えば前半の17分。アルバからセスクにパスが出る。

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セスクはSBとCBの間で上手くボールを受けた。この後ペペがセスクに寄せる。

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ペペがセスクに寄った為にスペースが空いた。この時セスクはルックアップをして赤丸のスペースを見ている。だが右サイドにいるバルサの選手は誰も入ってこない。

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セスクはぺぺに押し出された。さらにスペースが生まれる。

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ここでペペがセスクを離して、元のポジションに戻ろうとする。セスクは再び前方を確認している。だが右サイドにいる選手は誰も動こうとしていない。

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セスクの足下からボールが離れた。この瞬間にペペも自分の背後のスペースの確認をしている。きっとセスクと同様にペペも「なぜバルサの選手は誰も自分の空けたスペースに入ってこないのだろう」と不思議に思っただろう。この後、セスクはサイドチェンジをして(するしかない)DFに引っ掛けてしまった。このような現象がバルセロナの攻撃では度々起きていた。

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前半の40分。セスクがアルバにパスを出す。

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セスクがランニングによってスペースを空ける。だが、このスペースに誰もバルサの選手は入ってこない。そもそも人数が足りていない。

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仕方がないのでアルバが自らドリブルで進む。

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アルバはイニエスタにパスを出した。だがイニエスタはDFに囲まれている。この後イニエスタは独力で突破を図ったが、結局はレアルの守備陣に捕まってまった。

バルサの攻撃の不調

なぜバルサの選手達がポジションをキープするのかは分からない。この試合のバルサの攻撃は左サイドからのクロス、または左サイドから逆サイド展開が入った後、右サイドからのクロスという形を頻繁に狙っていた為に、マルティーノがブロックごとにポジションをキープする事を求めたのかもしれない。または頻繁なポジションチェンジによる守備時の混乱を嫌ったのかもしれない。ただ確かな事は前半のバルセロナの左サイドの攻撃は主にアルバとイニエスタ、セスクの三人だけで行われていたという事だ。それ以外の選手は逆サイドに留まれという指示を受けていたかのように動かなかった。

単調な攻撃

アルバとイニエスタ、セスクの三人の選手は技術的に高いものを持っている。しかし三人だけの攻撃には限界があり単調である。よって現在のバルサの攻撃は単発で終わる事が多い。

サッカーにおいて単純な裏取りが成功する確率は低い。その為に裏取り=ランニングをデコイとして使って、次の選択肢を確保する必要がある。そして誰かが動けば、また次の選手が動いてスペースに入る。この連関こそが有機的な攻撃を生む。しかし現在のバルサセロナの中央には、まるでブロック塀があるかのように右サイドにいる選手は左サイドにスペースがあろうが寄っては来ない。だから人数が足りない。よって有機的な崩しができない。そして単調な攻撃になりやすい。ラインを少し下げてスペースを埋めれば非常に守りやすい。

また、こういった状況で最も被害を受けた選手のひとりがセスクだろう。彼はロナウドやベイルのように強靭な肉体と走力を持っている選手ではない。 またメッシやイニエスタ、ディマリアのように独力で状況をこじ開けられるタイプの選手でもない。しかしセスクは動きながらも刻々と変化するスペースを掴む事ができる希有な選手だ。だがセスクがスペースを掴んだ所で、あるいは生んだ所で、それに呼応してくれる選手がいなければ、彼の魅力は半減してしまう。後半になってシャビが動き出したが大きな変化は生まれず結局セスクは交代させられてしまった。

五章 走力の総和 〜誰にでも限界はある〜

例えばセルジオブスケツには彼にしか出来ない事がある。しかし、それと同様に彼にも出来ない事がある。前半の34分を見てみよう。

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ディマリアがボールを持っていて、レアルが右に攻めている。例の如く、ディマリアに引き出されるブスケツ。三章で述べたようにブスケツを引き出せばバルサの中盤と最終ラインの間には高確率スペースが生まれる。ここでは、そのスペースにしっかりとイスコがポジションを取っている。

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ディマリアからイスコにパスが出る。やはり最終ラインの前にバルサの選手は誰もいない。信じられない程にスペースが空いている。これをブスケツが一人で埋める事は不可能だ。また彼が全てのボールを奪取する事も不可能だ。そして“走力の問題” も彼には解決できない問題だ。

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ディマリアからボールを受けたイスコはサイドにいるベイルにパスを出した。この時バイタルエリアにはイスコと最初にパスを出したディマリアがいて、画面手前にはイニエスタが映っている。だが、これはおかしい。ここで最初にディマリアがパスを出した瞬間に戻ってみよう。

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ディマリアがイスコにパスを出した瞬間だ。この時ブスケツとセスクはディマリアと同じラインにいる。シャビはディマリアよりも芝生ひとつ分自陣に近い位置にいて、イニエスタはディマリアよりもサイドにいるが、芝生二つ分は自陣に近い位置にいる。こういった状況だ。しかし、この七秒後の状況を見ると、

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ディマリアが最もバルサゴールに近いポジションにいる。つまりディマリアと同じラインにいたはずのブスケツとセスクはディマリアに置き去りにされ、シャビは追い抜かれ、イニエスタも間に合っていない。バルサの選手は誰もディマリアを捉えきれていない。

深刻な問題

現在のバルセロナの戦術には様々な問題が生じている。特に守備における問題は深刻だ。しかし、それを補える走力がバルセロナには足りていない。そして、それをカバーできる戦術もない。ならば走るしかない。だが走れる選手はいない。

これは一時的な問題ではない。なぜなら前任者のティト時代から抱えていた問題でもあるからだ。二人の異なる監督の間で同様の問題が生じている。二度ある事は偶然ではない。マルティーノが続投するのか、あるいは新たな監督が就任するのかは分からない。だが誰が指揮を取るにしても、こういった守備の問題に関して取り組む必要がある。

バルサ時代の終焉

セルジオブスケツは非常に優秀な選手だ。彼ひとりで支えられるモノが沢山ある。だが彼にも支えきれないモノがある。同じようにリオネル・メッシは稀代のフットボーラーだろう。だが彼一人でバルサの攻撃を支えられる訳がない。

バルセロナの時代が終わったのかは分からない。だがメッシの時代は終わったのだ。ブスケツの時代は終わったのだ。いくら彼らでも、現在のバルセロナを支える事はできない。それだけは確かな事だ。

バッシング

現在メッシは度々非難の的になっている。確かに彼の運動量は少ない。だが本質的な問題はそこにはない。このままではいずれメッシだけでなくブスケツにも火の粉が飛ぶだろう。あるいはネイマールなのか、それはセスクなのかもしれない。だがフットボールでは個人に責任を問う時代は遥か昔に終わりを告げている。どんなに優れた選手も適切な戦術の元でなければ決して輝く事はできない。

六章 アンチェロッティの本気と書いてマジと読む

この試合のアンチェロッティはマジで勝ちにいってた。レアルでのアンチェの采配には特徴があった。前半は理想を追って、しかし後半には現実を見る。こんな感じだった。でもこの試合だけは前半から現実しか見てなかった。アンチェロッティが、これまでのレアルでの試合で一番勝ちに行った試合だった。そして勝った。

凄いぞイスコ

あとイスコって対人守備、結構上手いのね。マラガの時はそんな印象なかった。それと本質的にサッカーが上手いやつはどのポジションをやらせても数試合あればアジャストできるって事がディマリアとイスコを見て再確認できた。U21の時は阿呆だと思ってた。すまんイスコ。この試合における裏MVPだ。イスコが交代する時のアロンソの激励っぷりがそれを物語る。あのレベルのタレントがよくあそこまで献身的に動けるよ。本当に素晴らしかった。

国王杯優勝おめでとう!!

第二回 : ベイルのミドルシュート時におけるルックアップとルックダウンのタイミング

 

全三回に渡り、ベイルのルックアップのタイミングを紹介する。

 

第一回 : CLのシャルケ戦におけるベイルのルックアップのタイミングと、その目的。 - 昨日は雨

 

第一回に続いて、今回は第二回「ベイルのミドルシュート時におけるルックアップとルックダウン」について取り扱う。

 

ベイルの首振りのタイミング

以下の画像は2014年2月22日に行われたリーガ25節、レアル・マドリード対エルチェ戦から、後半27分にガレス・ベイルミドルシュートを撃った際のプレーである。白いユニフォームがレアルで、左に攻めている。黄丸がボールで、画面右に向かって動いている。

 

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ベイルは味方がボールをトラップした瞬間は、ボールを見ている。しかし、味方がボールをトラップする直前と、パスモーションに入る瞬間、そしてボールがピッチ上を転がっているタイミングで、ベイルはボールから目を離して周囲の情報を取り入れている。前回と同様に、ベイルは短い間隔の中で三度も首を振って周囲を確認している。

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ベイルは、この地点からミドルシュートを撃った。

 

ベイルのルックアップ

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ボールに触れている瞬間は、足がボールに触れているので、ボールを見る必要がない。よって、顔を上げて周囲の情報を取り入れる。ルックアップ

 

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また、ボールに触れる直前もボールの軌道が安定しているのならボールを見る必要はない。よって顔を上げる。ルックアップ

 

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さらに、自身の前方にボールがある瞬間も周辺視野によって、ボールを捉えられるので、ボールを見る必要がない。ルックアップ。 

 

ベイルのルックダウン

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ベイルが顔を下げたのは、足を組み替える際に軽く、そしてシュートモーションに入る直前の二度だけだった。 この時は、ボールを見る為にルックダウンした。

 

適切なルックアップとルックダウン

ミドルシュートの場合は、ゴールの位置とGKのポジションの情報が重要になってくる。その際、必要でない状況で、ボールに注視していると、それだけ次のプレーに対する動きが遅れる。遅れた分だけ状況は変わってしまう。状況が変われば行動も変わる。

ミドルシュートを撃つ際には、ベイルのようなシュート威力とは別に、ベイルのような適切なルックアップが必要になってくる。

 

次回予告

次回は、ベイルのPA内における首振りのタイミングを、ロナウドベンゼマと比較して見ていく。